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政治

安倍の「賞味期限」はいつまでか

総裁選でかくも必死になる理由

2018年8月号

「今回の総裁選に出馬せず、安倍首相を中心に政治課題への取り組みを進めることが日本の安定にとって適切な対応と判断した」
 七月二十四日午後五時半過ぎ、自民党の政調会長岸田文雄は派閥事務所で行った記者会見で総裁選不出馬を表明した。予想された展開とはいえ、これで今年最大の政治イベントとみられた総裁選は早くもゲームセットになった。首相安倍晋三が狙った、元幹事長石破茂との激突で圧勝するシナリオが完成したと言っていい。ただし、事ここに至るまでには安倍の狡猾とも言える周到な準備があった。
「現職の総裁でここまで熱心に選挙準備をしている人物は見たことがない」
 長く国会に籍を置く自民党の長老は安倍晋三に冷ややかな視線を注ぐ。たしかに安倍の日常は全てが総裁選に通じると言ってもいい。大きくニュースでも取り上げられ、指弾の対象となった七月五日夜の「赤坂自民亭」の飲み会出席も、たまたま安倍の総裁選対策の一端が表面化したに過ぎない。毎週のように総裁選対策が目的の会合や面談を日程に入れていれば、必ずどこかのタイミングで危機管理上の問題に直面するのは目に見えていた。それでも安倍は非を認・・・