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政治

「建設国債」が潰す日本の将来

「借金で無駄遣い」の犠牲者は孫世代

2018年10月号

「我々が政権を取ってから税収は増えて今や六十兆円近く、過去最高に近づいてきている。国債も十一兆円減額をしてきた。しっかりと、これからも財政再建を進めていきたい」。自民党総裁選に臨んだ安倍晋三首相は九月、紅潮した顔つきで自身の実績をアピールしていた。株価上昇や税収増加などの功績はあれど、目玉の金融緩和政策は出口が見えず、アベノミクスが鳴かず飛ばずになっていることは誰の目にも明らかだ。だが、それ以上に財政再建を巡っては病巣となっている施策がある。「建設国債」という名の下、歴代政権とともに財務省でさえも借金をたやすく許す、甘い麻薬―。

安倍好みで「詐欺的な仕組み」

「現役世代がつくった負債の返済のため、孫世代の税金が重くなる可能性がある」。あるアナリストは国債残高の累積状況に警鐘を鳴らす。税金で償還しなければならない普通国債には、主に赤字国債(特例公債)と建設国債の二種類が存在するが、二〇一八年度末には発行残高は両方合わせて八百八十三兆円まで膨れあがる見通しだ。これらは六十年をかけて返済する「六十年償還ルール」が適・・・