三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《企業研究》ソフトバンク

想像以上に深刻な「サウジ危機」

2018年11月号

「自然史博物館は血塗られたマネーを受け取った」
 英国のロンドン自然史博物館がサウジアラビアのためのレセプションを開催しようとしていた十月十一日、英メディア・ガーディアンはこんな“超辛口”の論評を掲げた。
 サウジという巨大な資金源を後ろ盾に、世界中で果敢な投資戦略を展開してきたソフトバンクグループ(SBG)の先行きに暗雲が垂れ込めている。
 トルコ・イスタンブールのサウジ総領事館でサウジ政府に批判的な著名記者、ジャマル・カショギ氏が殺害され、それに同国政府関係者、なかんずく、最高実力者のムハンマド・ビン・サルマン皇太子が深く関与しているとの疑惑が浮上。欧米などを中心に「嫌サウジマネー」の動きが急速に広がりつつあるからだ。
 フューチャー・インベストメント・イニシアチブ(FII)―。「砂漠のダボス会議」とも呼ばれ、ムハンマド皇太子が世界の投資家などを首都リヤドに集め、脱石油をはじめとしたサウジの経済改革などをアピールする国際会議。初開催となった昨年は国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事やムニューシン米財務長官をはじめ、・・・