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経済

野村證券「業界盟主」の落陽

優秀な若手の相次ぐ「退職・独立」

2018年10月号

 十月中旬以降、上場会社が続々と発表する二〇一八年度第2四半期決算の中で、早くもその内容に市場の関心が集まっている企業の一社が野村ホールディングスである。いうまでもなく、わが国の証券界の雄、野村證券を傘下に置くグループにそれほどの関心が寄せられるのは、野村の栄光に陰りが見え始めているからだ。
 それにしても、野村の同第1四半期決算はひどかった。税引前利益は前年同期比八二%減の百三十六億円。当期純利益に至っては、同九一%減という大幅減益の五十二億円にとどまったからだ。挙げ句に、「万年二位」の立場に甘んじてきた大和証券グループ本社に首位を奪われるという失態まで演じた。まさにトップのメンツは丸つぶれである。その状況をある幹部は「ホールセール部門の不振がひどかった」と嘆く。実際、ホールセール部門は税引前赤字に転落し、全体の足を引っ張った。
 これについて、「債券などの相場を見誤ったのが主因」というのが野村の公式コメントだが、決してそれだけが原因ではない。背景にあるのは企業取引分野の地盤沈下だ。その一端が垣間見られたのが、昨年十二月の東芝による約六千億円の増資案件だった。野村・・・