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経済

トヨタ「マツダ子会社化」への深謀

販売金融事業「救済統合」で前進

2018年12月号

「事業統合ではなく、事実上の救済劇ではないのか」。クレジットカード業界筋の間ではこんな声が専らだ。
〈トヨタ、マツダ販売金融事業を統合へ〉などの見出しがマスコミ各紙に躍った今年十月下旬。トヨタ自動車とマツダが、自動車の販売金融事業を統合する方向で最終調整を進めていることを伝えた記事で、トヨタは事業規模の拡大が、マツダは資金調達コストの抑制や効率化などが狙い。年内にも正式に合意する見通しだとされた。
 統合のスキームはトヨタ全額出資の金融統括会社、トヨタファイナンシャルサービス(TFS)グループが、マツダ系のSMMオートファイナンス(SMMAF)に五一%を出資するというもの。SMMAF株は現在、マツダが四九%を保有するほか三井住友銀行(SMBC)が四一%、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)傘下のノンバンク、セディナが一〇%を保有している。TFSグループはこのうちSMBCとセディナの持ち分を買い取って子会社化する。
 要するに「統合」とは言っても何のことはない。SMFGがSMMAFから出資を引き揚げ、その分をトヨタが肩代わりするというだけで、いわばマツ・・・