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サウジとイスラエルの「黒い同盟」

年内の「国交樹立」もありうる

2019年1月号

 人は危機の時こそ、だれが真の友か分かる。サウジアラビアの怖いもの知らずの、ムハンマド皇太子でさえ、その真理を痛感した。
 昨年十一月、アルゼンチンで開催された、主要二十カ国・地域(G20サミット)首脳会議の会場で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がにっこりとハイタッチしてくれた時は、三十三歳という年相応の、心からの笑顔がはじけた。
 もう一人、手を差し伸べるのは、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相である。十一月、記者団に対して、「サウジアラビアが不安定になれば、中東ばかりか、世界全体が不安定になる」と述べて、国際社会に「バランス」のとれた対応を求めたのだ。
 サウジアラビアとイスラエル。かつての不倶戴天の敵は、トランプ政権下で「准軍事同盟」を密かに探り合う関係になっていた。サウジ人記者、ジャマル・カショギ氏殺害事件後、さらに両国は水面下で協力強化に動きそうだ。

国家機密級のスパイウェアを提供
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 ネタニヤフ首相からのエールはまだまだ続いた。十二月上旬、イスラ・・・