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経済

トヨタの怪僧「小林耕士副社長」

章男を操る最側近の「秘話」

2019年1月号

 日産自動車前会長カルロス・ゴーンの逮捕で、世界シェア第三位から、首位フォルクスワーゲンに次ぐ二位の日産・ルノー・三菱連合に追撃を狙うトヨタ自動車。そのガリバーを率いるのは言わずと知れた豊田章男社長である。だが実はこの著名な首領の陰で、権勢を振るう人物が存在する。副社長の小林耕士氏︱社内には「帝政ロシア末期にロマノフ家を滅亡に追いやった怪僧ラスプーチンの如し」と揶揄する声も。今や、社長然として振る舞い、小林氏の意向に背くような輩は社内に見当たらない。彼はいかなる軌跡を辿り、トヨタのラスプーチンとして、とめどなき威光を放つまでに上進したのか。
「発言の九割は小林さんで、残り一割が章男社長。何にでも小林さんがしゃしゃり出てきて決めようとする」。役員が参加して毎週開かれる「トヨタ朝会」の内情を、関係者はこう嘆く。だが、それにしても「こんなに社内を牛耳れる権力を手中に収めるとは」と社内で戸惑いの声が消えない。それもそのはずで、小林氏は二〇〇〇年にトヨタの財務部から、子会社のトヨタファイナンシャルサービスへ、〇三年にはデンソーへ立て続けに出向。デンソーで副会長まで務めた後、一六年二月に・・・

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