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経済

《クローズ・アップ》森本 孝(関西電力新社長)

「敗戦処理内閣」のグレーな首班

2020年4月号

「ユーザー目線によるコンプライアンス意識がまったくない!」
 三月十四日、真相究明の第三者委員会に繰り返しこう指弾された関西電力が、新社長に選んだのは副社長の森本孝だった。その使命が、原発の立地する福井県高浜町の元助役・森山栄治(故人)から過去三十年以上、七十五人の幹部が総額三・六億円の金品を受領していたことが判明した関電の、信頼回復にあることは自明だ。が、六十四歳の森本に清新さは乏しい。
 企画畑の森本は金品受領はないとはいえ、不祥事を漠然とながら知らされており、法令遵守上“真っ白”とは言えない。実際、関電の人事・報酬等諮問委員会委員の井上礼之(ダイキン工業会長)は森本の登用に否定的だったという。それを押し切ったのは、関電元社長・会長の森詳介である。
 森は一昨年九月、当時の会長・八木誠、社長・岩根茂樹に不祥事の処理を相談され、闇に葬ることを決めた張本人。第三者委に「責任は特に重い」と名指しされた三人の一人だ。その森が今回、相談役を退き、その代わり社長に就いたのが森本なのだ。不祥事が公になって以来、自民党などの政治対応は森、経済産・・・