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経済

日立「英国原発凍結」の裏事情

東芝との「事業統合」への渇望

2019年2月号

「国民が反対するものはつくれない」
 経団連の元旦公開の年頭会見で中西宏明会長(日立製作所会長)が発したひと言は、少なからぬ波紋を広げた。中西氏は原発について「電力会社や日立といったベンダーが無理やりつくることは民主国家ではないんでね」と続け、まるで革新系の野党議員のような見解を快活に語ったのだ。
 すでに当時、日立が英国に計画する沸騰水型軽水炉(BWR)二基の建設が暗礁に乗り上げていることは知られていた。そこへ脱原発宣言とも受け取れる経団連会長の発言が重なり、「ついに日本も原子力撤退か」と一部のメディアや市民団体は快哉を叫んだのである。無論、そうではない。
 首相官邸への牽制と恫喝―。これが中西氏の真意だろう。安倍晋三政権は原発輸出の国策の旗を下ろしておらず、先にトルコ原発から離脱した三菱重工業と伊藤忠商事は官邸から嫌がらせを受けた。 経団連会長企業は格が違うとはいえ、事前に断りを入れたのだ。そして何より、国策と言いながら世論の反発を怖れ、国内原発の再稼働、新増設には後ろ向きな安倍政権を脅したのである。「政治が国民を説得しないなら、本当に撤退するぞ!」と・・・