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連載

美の艶話 第38話

不可視の美と愛
齊藤 貴子

2019年2月号

エドワード・バーン=ジョーンズ作《コーフェチュア王と乞食娘》
テート・ブリテン美術館所蔵


生きていれば星の数ほど出会いはある。けれど、「ああ、この人とはきっと何かある」と、そんな風に思えることは滅多にない。
 単に顔や体つきが好みというのではなく、ひたすら素敵だなぁと憧れるわけでもなく、ただ何となく感じる、長い付き合いになりそうな予感。当たるも八卦当たらぬも八卦だが、基本的に未来の見えない我ら人間がこの種の直感を抱くというのは、既にそれだけで幸運なこと。あたら無下にすべきではないし、事実その先に待っているのは、あっという間に燃え上がって燃え尽きて、後は音沙汰もないという凡百の恋や、ただ楽しい時間を共有するだけの薄っぺらい関係ではない。むしろ楽しいよりは苦しいような、人生という長い時間をじっと耐え忍ばせる篤い信仰にもどこか似た、静かな情愛である。
 思いがけない愛の訪れ。この世にはそういうことが確かにあるという前提に立ち、予期せぬ愛を覚えた人間が果たしてどうなるかを描いたのが本作。十九世紀末イギリスの画・・・