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連載

広告を裏読みする 第3話

「記事広告」にみる朝日新聞の堕落
本間 龍

2019年3月号

 欧米のジャーナリズムが必ず守る原則に「チャイナウォール原則」というのがある。「広告や経営上の判断は決して報道の内容に介入しない」という意味である。チャイナウォール(万里の長城)が漢民族と異民族を隔てていたように、広告・経営と報道の間には、決して超えてはならない強固な壁があるという比喩だ。しかし近年、広告出稿の減少に悩むメディアは、自ら進んでその垣根を崩そうとしているように見える。
 一月二十四日付の朝日新聞五面に載ったパナソニックのノートPC「タフブック」の十五段カラー広告がまさにそれだった。定価なら三千万~四千万円の掲載料で、話題になったプロスキーヤー三浦雄一郎氏のアコンカグア登頂挑戦にパナソニックのポータブルPC、タフブックが活用されたという広告だ。問題なのはその広告の中でタフブックを使用して「厳しい環境の中でも、とても役に立ちました」とレポートしているのが、朝日新聞の現役記者だったことだ。しかも、この記者は毎日のように「三浦雄一郎八十六歳の挑戦 南米最高峰へ」というコラム記事を書いていた。
 しかしこの二十四日付の広告は「南米最高峰での挑戦  タフ・・・