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経済

《地方金融の研究》山形銀行

ジリ貧でも続く「同族支配」

2019年3月号

 取引先関係者の間では悲鳴と怒号が交錯したという。
 今年一月十七日、山形地裁に民事再生法の適用を申請して事実上、倒産したシベール。山形市に本社を置く洋菓子メーカーで、フランスパンを再利用する形でつくる「ラスク」ブームの火付け役。二〇〇五年七月にはJASDAQ上場も果たし、一時は関東圏にも直営店を展開するなど業容拡大を図ったが、競合他社の登場などで苦境に追い込まれ、資金繰りに行き詰まった末にあえなく破綻した。
 二月十八日にはその上場も廃止となり、七千百人を超える株主らが保有する株式は紙クズ同然に。個人投資家らからは「どうしてこんなことに……」といった不審と怨嗟の声も上がる。

融資先「地雷原」を早めに除去

 無理もなかろう。シベールは昨年十一月下旬に提出した一八年八月期の有価証券報告書や同十二月末に発表した一九年八月期の第1四半期(九~十一月)決算短信で「今後も安定的な資金調達が見込まれる」などと開示。手元流動性に関する不安を打ち消してきたからだ。それが突然の資・・・