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香港「民主派」を操る米国

終わらぬ抗議デモの裏事情

2019年8月号

 香港で身柄を拘束した容疑者の中国本土への移送を可能にする逃亡犯条例改正をめぐり、香港立法会が建制派(親政府派)とこれに反対する民主派の議員間の激しい衝突で大混乱に陥っていた五月十六日、米国ワシントンの国務省で、ポンぺオ長官が香港からの訪問客と会談した。
 席上、ポンぺオ長官は同改正案について「法の支配を脅かす」として「懸念」を表明。トランプ政権高官から直接、この問題で民主派への「支持」が表明されたのは初めてだったろう。会談の相手は、李柱銘。民主派の中核ともいえる民主党の創始者で、香港の「民主主義の父」と呼ばれ、その影響力は現在も絶大なものがある。
 李は二〇一四年四月六日に、ホワイトハウスで当時のオバマ政権のバイデン副大統領とも会談。一七年の香港特別行政区行政長官選挙では中国の圧力で「普通選挙」が妨害され、「中国が選んだ者しか立候補できなくなる」と発言している。この問題が同年秋に「雨傘運動」を引き起こしたことは記憶に新しいが、公職にない李が米政権のトップクラスの閣僚と会見でき、すぐ後に二度にわたって「民主化運動」が空前の盛り上がりを示したのは、香港の民主派の一面を・・・