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習近平「終身主席」への暗雲

「四つの危機」で荒れる北戴河会議

2019年8月号

 毎年夏、中国河北省の秦皇島市の避暑地で、共産党長老と現役指導者が集まり、重要人事や政策について話し合う非公式会合、北戴河会議が八月初めから約一週間の日程で開かれる。指導者らの安全確保のため、七月中旬から約一カ月間、秦皇島市周辺道路の通行規制が敷かれ、周辺の上空の航空規制も始まったと伝えられている。
 胡錦濤前国家主席、朱鎔基元首相、温家宝前首相などの長老たちは、七月中旬から下旬にかけて家族や秘書とともに、続々と北戴河入りしているとの情報がある。
 共産党関係者によれば、今年の北戴河会議の主なテーマは米中貿易摩擦、経済成長の鈍化、香港のデモ問題、台湾の総統選挙の計四つある。いずれも、習政権の対応のまずさで深刻化した問題である。特に米中貿易問題と経済低迷問題は、特権を利用して親族らに経済活動をさせている長老らにとって切実な問題で、習指導部の対応に不満が鬱積している。対米貿易交渉を一年以上担当し、全く進展させられなかった習側近の劉鶴副首相の責任が追及される展開になる可能性もある。そうなれば、秋の中央委員会総会に向けて政局が一気に流動化する。

側近の劉鶴氏を守るのに必死・・・