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連載

《世界のキーパーソン》リカルド・ガルバン前ブラジル国立宇宙研究所所長

アマゾン森林大火災の「告発人」

2019年9月号

 アマゾン川流域の熱帯雨林が燃えている。疑いようのない大惨事を今夏、世界に示したのが、ブラジル国立宇宙研究所(INPE)の人工衛星データであった。
 今年一月から八月まで何と七万件以上。二〇一八年の同時期より八〇%以上も多い。環境問題に関心のある世界の人々の心を激しく揺さぶり、米俳優レオナルド・ディカプリオ氏らは、アマゾン保護のため国際的な寄付活動を始めた。
 衝撃の写真や映像とともに、火災激増の原因が、ジャイル・ボルソナロ大統領の「開発優先」政策にあることも分かった。ボルソナロ氏は瞬間的に、世界で最も憎まれる敵役になった。
 大統領はただちに、「これは全部大嘘だ」と反論を開始し、データを公表したINPEの所長を解任した。七十一歳の物理学者は、人類と科学のために立ち上がった英雄になった。
 ボルソナロ氏は「INPEは大嘘を並べた」「この男は、環境団体の手先だ。そもそも、火をつけているのは、私に反対する環境団体だ」と、まくしたてた。
 物理学者は、「これは酒場で酔いどれが口にする、たわごとだ。大統領ともあろうものが、何の根拠もない、不適切・・・