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経済

リコー「リース事業売却」の秒読み

「物言う株主」に喰い付かれて

2019年10月号


 事務機大手のリコーが、リース事業を展開する上場子会社リコーリースの売却に踏み切るとの観測が強まっている。山下良則社長ら首脳陣の背中を「しきりと押している」(事情通)とされるのは、リコー株の一八・九九%を握る筆頭株主のアクティビスト・ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントの「無言の圧力」(金融筋)だ。
 最終損失一千三百五十三億円。リコーが北米子会社ののれん減損処理を迫られ、過去最悪の赤字決算に陥ったのは二〇一八年三月期のこと。二期連続での計一万人近いリストラと不採算事業の売却など構造改革が功を奏し、業績はひとまず回復軌道に乗った。一九年三月期の営業損益は八百六十八億円、最終損益は四百九十五億円のいずれも黒字に転換(国際会計基準)。二〇年三月期もそれぞれ一千億円(前期比一五・二%増)、六百二十億円(同二五・二%増)の利益計上を見込む。
 とはいえ内実は予断を許さない。トップラインのジリ貧傾向に依然、歯止めがかかっていないからだ。物流子会社、リコーロジスティクスのSBSホールディングスへの売却などもあって一九年三月期の売上高は二兆百三十二億円と・・・