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政治

安倍「醜聞内閣」に怒らぬ有権者

「在庫一掃」大臣で沈みゆく日本

2019年10月号

蟻の一穴という。小さなことでも見逃せば、大きな厄災につながるとした警句は、政治のモラルにもあてはまる。一人の問題行動を許すと、別の政治家の問題行動も問われなくなる負の連鎖が起きる。九月に行われた第四次安倍晋三内閣の第二次改造は、この政権で一穴が広がり、堤が決壊寸前であることを改めて示すものだった。
 今回の内閣改造では、全てのメディアが改造前日までに入閣者の名前とポストを報じ終える前例のない展開となった。入閣の連絡を受けた政治家の口が総じて軽かったうえ、安倍の入閣者への通知も早かったためだ。連絡を急いだ理由は、当選回数を重ねながら、醜聞の有無などを調べる「身体検査」に引っかかって入閣できずにいた「待機組」が、何も手につかずにいたことへの配慮だ。そこまで期待感を高めた背景に、安倍政権のもとで下がり続けている身体検査のハードルの低さがあった。
 中でも、「あの四人だけは勘弁を」と各省が人相書きを回すほど、従来の基準では入閣不能と考えられていた政治家の起用は、モラル崩壊の象徴事例と受け止められている。田中和德(麻生派)、武田良太(二階派)、河井克行(無派閥)、菅原一秀(同・・・