三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《企業研究》楽 天

「携帯電話事業」三木谷のペテン

2019年10月号

 果たしてどう辻褄を合わせるのか―。十月一日、携帯電話加入者のネット受付を開始した楽天は今ごろ、会長兼社長の三木谷浩史自ら鳩首凝議して申込者を選別しているに違いない。
「携帯電話事業者としての社会的責任を踏まえ、早期に本格サービスを開始してほしい」
 振り返れば、官房長官・菅義偉が楽天に対し、異例の警告を発したのは九月六日だった。その談話に“社会的責任”の五文字を差し込んだのは総務省である。「しょせん虚業の口舌の徒か……」と、菅は内心自らの不明を恥じていただろうか。元総務相の菅が見込んで“第四の携帯キャリア”へ道を開いてやった三木谷は、警告の重大さをほとんど認識していなかったからだ。
 同日、三木谷が開いた言い訳の記者会見は陋劣を極めた。基地局開設が大幅に遅れ、総務省から三回の行政指導を受けていた楽天が、当初計画の十月にサービスを開始できないことは分かっていた。案の定、計画は来年三月まで最長半年延期、肝腎の通信料金も発表できなかったが、三木谷は楽天のクラウド技術による完全仮想化ネッ・・・