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習近平を悩ます 「情報機関」の凋落

スパイの相次ぐ失態と「裏切り」

2020年1月号

 中国の外交筋によると、日本を含めた各国の中国大使館の国家安全と情報担当者が二〇一九年十二月、本国から「年度報告書を出し直せ」という指示を受け、慌てて作り直したという。「成果や自慢話が多すぎる。失敗例や反省をもっと盛り込め」との指示で、連日徹夜の作業が続いた。原因は十一月二十九日に開かれた政治局会議。習近平国家主席は席上、情報機関が上げた情報の精度の低さに激怒し、二〇二〇年春の全国人民代表大会以降、党、軍、国家安全省を含めた情報機関の大幅組織改革の必要性について言及したという。
 年度報告書は例年十一月、北京の国家安全省に送られ、国内分を含めて総括された後、年末に党の指導者の目に触れる運びになっている。各在外公館は一九年も十一月中に報告書を提出していた。
 習氏の怒りの最大の原因は、十一月二十四日の香港の区議会議員選挙。選挙前に香港の緊急法が発動されており、議会を通さず行政長官だけの判断で選挙を中止、もしくは延期することができた。日本を含めて多くの外国メディアは「選挙が延期される可能性がある」と予測していた。しかし、香港で活動する中国の情報機関が党中央に上げた分析報・・・