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次のアリババ「美団点評」の快進撃

「出前屋」が巨大企業に化ける中国

2020年2月号

 バイドゥ(B)、アリババ(A)、テンセント(T)で知られる中国の三大IT企業の「BAT」。もうこの呼び名は古くて使えなくなったようだ。飲食宅配をコア事業として急成長する「美団点評(メイトゥアン・ディエンピン)」がバイドゥの時価総額を上回り、上場するインターネット企業としてアリババ、テンセントに次いで三位となり、なおも引き離しているのである。かつては出資を仰いだ巨人アリババから離れ、戦い、凌駕するに至った戦略は「集中」と「展開」だ。
 二〇一五年に四十億人民元だった美団の売上高は、一九年(コンセンサス予想)には一千五十九億元と二十六倍に急拡大してきた。米国の「Fast Company」誌が毎年発表する「世界で最も革新的な企業五十社(一九年)」で美団は堂々の一位。アリババは十五位、米GAFA四社ではアップルが十七位。世界最大手の飲食宅配だが、単なる「出前屋」ではない。

飲食宅配で巨人アリババを圧倒

 同社CEO王興氏は一九七九年生まれ。二〇〇一年に清華大学を卒業し、米国デラウェア大学でコンピューターエ・・・