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経済

《地方金融の研究》中京銀行

救済合併と「解体」は誰がやるか

2020年2月号

 名古屋金利、岐阜金利に三河金利……愛知県を中心とする東海地区はこんな俗称が広く浸透するほど全国でも有数の「低金利ゾーン」とされている。相対的に約定貸出金利が低く、金融機関泣かせのマーケットというわけだ。
 日銀によるマイナス金利政策の長期化で地域間格差は次第に縮小しているとされるが、かつては域内での貸出金利回りは全国平均を〇・四ポイント前後も下回ると取り沙汰されていたほど。トヨタ自動車を頂点に堅実経営で手元資金の厚い製造業が集積する一方、オーバーバンキング気味で金融機関間のパイの争奪戦が激しいことが、こうした現象を生んだというのが専らの“定説”だ。
 そんな中「いまや臨界点にまで達しつつある」(地元金融筋)とされるのが金融再編のマグマ。なかでも「台風の目」となっているのが、名古屋市本拠の中京銀行だ。
 御多分に漏れず経営は苦しい。マイナス金利導入前の二〇一四年度(一五年三月期)には年一・三五%あった貸出金利回りは右肩下がりを続け、一八年度には一・〇一%にまで低下。一九年度上期(四~九月)には〇・九八%と・・・