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連載

広告を裏読みする 第15話

「共産党NO」広告と新聞の拝金主義
本誌編集部

2020年3月号

 掲載不可のもの―。
「特定の候補者や政党等への投票の呼びかけ、反対する者への不投票の呼びかけなど、選挙運動とみなされるものはすべて掲載できません」
 これは、京都新聞の広告掲載基準(二〇一六年四月版)に掲載された項目である。「政治広告」に関する多岐にわたる基準のなかでも、主に選挙期間中の広告について記した部分だ。これを素直に読めば、「反対する者への不投票を呼びかけた広告は掲載不可」となる。
 一月二十六日、京都新聞、朝日新聞、読売新聞の朝刊に掲載された広告が物議を醸した。「未来の京都をつくる会」なる団体が出した京都新聞の全十段広告にはこんなコピーが大書されていた。
「大切な京都に共産党の市長は『NO』」
 当時は、すでに二月二日の投票日に向けた選挙期間の最中であり、候補者は三人だけだった。件の広告が現職の門川大作氏を支援するものであることは、隅に「デザイン的には不自然な形で」(電通関係者)同氏の顔写真があったことから明白だ。

審査基準という「ご都合主義」

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