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連載

日本の科学アラカルト 115

次世代ものづくりを支える 進化するレーザー加工技術

2020年3月号

 プレゼンテーションの場で使われるポインターや、イベントなどでの光による演出でおなじみのレーザー光。これは、通常の光とは異なり、拡散しない「指向性」や、同一の位相を持つ「可干渉性(コヒーレンス)」「単色性」などを持つもの。なかでも可干渉性は重要で、コヒーレント光の一種である。レーザーの概念を生んだのはアインシュタインだったとされる。すでに百年前にはその基礎概念を提唱した。しかし実際にレーザー光を人類が開発したのは、一九六〇年になってから。米国のヒューズ研究所で、世界で初めてレーザーが製造されたのだ。そしてすぐ後には、その大きな出力を使ってダイヤモンドに穴を開けたと言われている。これが現在まで続くレーザー加工の礎になっている。
 レーザー加工はすでに実用化され、さまざまな製造現場で実装されている。しかし決して成熟した古い技術というわけではない。次世代のものづくりの現場では、さらなる自動化などが求められるが、レーザー加工は他の加工技術と比較して、出力などをデジタル制御しやすいという特徴がある。一方で、レーザー加工の効率は決して高くないため、さらなる高出力化や、省エネルギー化などが・・・