二月十日月曜日の朝、ビックカメラの東京・有楽町店には長蛇の列ができていた。午前十時の開店と同時に彼らが殺到したのは、エアコン、ドラム式洗濯機、電動自転車など高額商品の売り場。とりわけ米アップルのスマートフォン「ｉＰｈｏｎｅ」の売り場では、混み合う来店客で陳列棚が壊れる事態まで発生した。
〈誰でも！毎週10億円！もらえるキャンペーン〉
　この日は、ＫＤＤＩがこう銘打って展開しているスマホ決済「ａｕＰＡＹ」の大型販促の初日だった。同決済を使えば、商品購入額の二〇％がポイント還元、すなわち値引きされる。決済一回の還元額は一人上限三万円なので、それを満額享受するには十五万円以上の買い物が必要になり、高額商品に人気が集中したわけだ。
　ＫＤＤＩはこの値引き原資に毎週十億円を用意、キャンペーンは三月二十九日まで七週連続で展開し、総額七十億円を還元する。その送客効果は絶大だ。第一週の値引きは初日と翌日で十億円を使い切り、わずか二日で終了した。ビックカメラ有楽町店は「平日にもかかわらず、商品によっては通常の二～三倍売れた」という。しかも、販促費はＫＤＤＩがすべて負担して・・・