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政治

「野党共闘」を分断する官邸

菅=玉木「親密化」に潜む罠

2020年4月号

「新型コロナウイルスへの対応や、自殺した財務省職員の遺書、東京高検検事長の定年延長など、政権を攻めるポイントがいくらでもあったのに中途半端に終わった」
 立憲民主党の中堅議員はこう漏らす。コロナ危機は収束が見通せず、第二次安倍晋三政権発足後、最大の危機ともいえる状況は続いているが、肝心の野党の足並みは揃わない。国民民主、立憲民主両党の関係が悪化していることもあるが、その裏では野党の結集を妨げようと画策する安倍官邸の動きが見え隠れする。

「玉木懐柔」で打ち込んだ楔

「野党協議が続いている最中に、勝手に官邸に通じるのはいかがなものかと、立憲民主党幹部は激怒していた」
 全国紙の野党担当記者はこう語る。コロナ感染者が増加し、全国の学校が休校に入る直前だった二月二十八日、国民民主の玉木雄一郎代表は突如として安倍首相と電話で会談を行い、一斉休校に伴う保護者への休業補償などを国が責任を持って行うように求めた。安倍首相もこれに「提案に感謝する。ぜひやらせてもらう」と前向きに回答。玉木氏は同日、菅義偉官房・・・