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経済

楽天「携帯電話」に響く弔鐘

三木谷「まやかし経営」の罪深さ

2020年4月号

“まやかし”の上塗り―。楽天が四月八日に本格参入する第四世代(4G)携帯電話の料金をみて、義憤を抱いた通信関係者は多いだろう。基地局整備が進まず、当初計画の昨年十月の参入を料金無料の試験サービスで誤魔化してきた楽天だが、案の定、本格サービスにもその場しのぎの欺瞞がある。
 その不実な企業体質はおそらく、創業者である会長兼社長・三木谷浩史の人格に由来する。
「楽天はモバイルネットワークを民主化します」
 ネット中継で行われた三月三日の記者会見の冒頭、三木谷はこう見得を切った。月額料金はSIMロック、二年縛り契約、違約金の制約が一切なく、「完全データ使い放題」で二千九百八十円と表明したのである。データ通信量に上限がないサービスは唯一KDDIが七千四百八十円で提供しているが、これら携帯大手三社の大容量プランに比べ半額以下の水準だ。三木谷は「衝撃的な価格」と自画自賛しつつも、加入者三百万人までは一年間無料にするというのだ。一体どういうことか……。
「料金をとらずに本格サービスとは意味不明。つまり、基地局・・・