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政治

コロナ禍も延命に利用する安倍政権

《政界スキャン》

2020年4月号

 日本に降り立った聖火の激しく揺れる炎は、前途の多難を告げていたのに違いない。
 三月二十日、宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地は、風速十二メートルを超える強風が吹き荒れた。聖火を運んだ飛行機は、到着できなくなるのを恐れて予定より一時間半も早く着陸。列車ダイヤの乱れで新幹線が大幅に遅れ、橋本聖子五輪相や萩生田光一文部科学相ら東京の来賓の多くが遅刻し、橋本氏の祝辞はなくなった。
 自衛隊の曲技飛行隊「ブルーインパルス」が青空に描いた五色の輪は、瞬間風速二十二メートルの上空でみるみる崩れた。挨拶で震災復興に言及した森喜朗五輪組織委員会会長は「宮城県」を「宮崎県」と言い間違え、参列者はため息を漏らしてうつむいた。
 その二日後、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長から森氏にテレビ電話会議の申し入れが届く。
「大会のシナリオを次の段階へ進めることになった」
 森氏は
「中止はしないですね」
 と念押ししてから、小池百合子東京都知事に電話した。
「延ばせば延ばすほどお金がかかるから、覚悟して下さい」
・・・