新型コロナウイルス感染で、世界の専門家が注目するのが北欧五カ国の動向である。四月末の感染者、死者数では、人口比でどこも日本を大きく上回っているが、長期的な疫病抑え込みには、有利な条件を備えているとされるからだ。
　世界屈指の福祉・医療国家群というだけでなく、各国の「幸福度の高さ」がやがて大きな違いをもたらしてくるという見方である。「幸せな国ほど、新型コロナウイルスに強い」とは、どういうことなのだろうか。

他人を信頼できる国は耐性が強い

　国連が発表する「世界幸福度ランキング」を、読者はご存じだろう。「幸せ」という、主観的な感覚の指標化は可能なのか。「おめでたい国」と思う向きもいるだろう。三月発表の最新報告書は、ウイルスの世界的蔓延という暗いムードの中、あまり注目されなかった。
　今年の「世界一幸福な国」はフィンランド。第二位はやはり北欧のデンマークで、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンはすべてトップ10に入った。上位は近年、ずっと同じ顔触れだ。日本は六十二位だった。こちらも毎回、五十・・・