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米国と台湾「準軍事同盟」はなるか

米中対立で蔡英文に好機到来

2020年8月号

 台北市中心部にある立法院(国会)で七月二十日開かれた超党派の「台米議員連盟」の集会に、同連盟の前会長で、台湾初の女性駐米代表(大使)に任命された蕭美琴氏が出席した。蕭氏は「中国が『戦狼』外交を展開するなら、私は『戦猫』外交をやる。ネコのようにしなやかに、狭い空間でも生きる場所を見つける」と言って笑いを取ったあと、一転して厳しい表情になり「台湾にとって対米外交は負けられない戦いだ。大きな圧力を感じている」と心境を語った。対中戦略上、米国との関係は生命線ともいえるからだ。
 蕭氏は神戸市生まれの四十八歳。幼い頃は宣教師の台湾人の父親と米国人の母親と共に、日本、タイ、ベルギー、オランダなどを転々とし、小中学校は台湾で、高校から大学院までは米国で学んだ。立法委員を計四期務め、政治家としてはベテランの域に達したが、外交官の経験はない。台湾外交における枢要ポストである駐米代表への登用は、サプライズ人事である。
 台湾の外交関係者によれば、総統の蔡英文氏は、大物外交官といわれる前駐米代表、高碩泰氏の消極的な外交活動に対し大きな不満を持っていたという。米トランプ政権は近年、台湾を・・・