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経済

製薬企業「医師への賄賂」全調査

初公開「奨学寄附金」の異様な実態

2020年10月号

 製薬企業が自社の医薬品の販売を伸ばすため、医師にカネをバラ撒いて、患者への処方を促す。この医療界特有の悪しき慣行は、長年続く宿痾である。
 製薬企業と医師のカネを巡る癒着を正す取り組みは、これまで何度も試みられてきたが、製薬マネー汚染は、縮小するどころか、さらなる広がりをみせているのが現実だ。
 こうした事態に危機感を抱き、製薬企業から医師へ渡るカネの実態を調査している谷本哲也医師らが八月五日、調査結果を公表した。二〇一九年一月に公開された「製薬マネーデータベース」の第二弾といえるもので、一七年度に日本製薬工業協会(製薬協)に加盟する七十二社(当時)が医師個人に講演料や原稿料などの形で支払った「C項目」と呼ばれるカネの総額は二百六十四億二千百三十万円で、二十四万四千九百八十三人に支払われていた。一六年度と比べ、総額で四・二%、支払われた医師数で一・九%増えていた。一三年にノバルティスファーマの臨床研究不正が社会問題となり、製薬マネーに厳しい目が注がれる中での増加だ。

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