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経済

ゼネコン再編に 乗り出す「村上世彰」

狙われた中堅三社の「恐慌」

2020年11月号

「絶対に株主還元だけじゃ終わらないはずだ。どこかで統合話を仕掛けてくるに違いない」。中堅ゼネコンの大豊建設関係者は身構える。大豊を震え上がらせている仕掛け人は日本で最も有名なアクティビスト、村上世彰だ。村上が率いる投資会社は異常とも思える急ピッチで大豊株を買い増している。
 村上が事実上率いる投資会社の一つ、シティインデックスイレブンスが五・一三%の大豊株を取得したという大量保有報告書を出したのが今年の五月十四日。その後、八月十一日に六・一五%まで買い増した後、九月に入り、シティ社はほぼ毎日、株式市場で大豊株を買いあさり始めた。九月だけで変更報告書は六回、十月に入っても一日、十四日、二十二日とそのペースは衰えない。直近の二十二日の変更報告書では、シティ社と同じく村上が率いる投資会社オフィスサポート、そして村上の長女の野村絢の三者合算で大豊株を一九・〇八%まで買い集めた。
 大豊は今年三月末で現預金を約三百億円抱え、住友不動産や京浜急行電鉄などの投資有価証券も保有。一方で時価総額は、これだけ村上が買い上げても五百億円台と株価は割安だ。株主還元余地は大きく、株の過半を買・・・