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経済

プリウスは「無罪放免」でよいのか

今も続く「異常加速」の解けない謎

2020年11月号

 東京・池袋で昨年四月、横断歩道を渡っていた母子が暴走した自動車にひかれ死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院元院長の飯塚幸三被告の初公判が十月八日、東京地裁で開かれた。飯塚被告は「運転していた自動車に何らかの異常が生じたために暴走した」と無罪を主張。被告が現在八十九歳の高齢ということもあり、報道や世論では「責任逃れだ」との論調一辺倒だ。しかし、一概に「自動車に問題はなかった」と言い切るのは早計だろう。
 被告が運転していたトヨタ自動車のハイブリッド車(HV)「プリウス」では、過去に暴走事故が多発している。二〇一六年には福岡市でタクシー車両として使用していたプリウスが暴走して病院に突っ込み三人が死亡、七人が重軽傷を負った事故が発生。自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた元タクシー運転手は一審、二審とも「車両の不具合が原因だ」として無罪を主張した。福岡高裁は二〇年二月、被告の控訴を棄却したが、被告側はこれを不服として最高裁に上告している。
 事実、国土交通省の「自動車のリコール・不具合情報」サイトでは一般ユーザーか・・・

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