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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》日本学術会議

令和版「レッドパージ」の真の狙い

2020年11月号


「国民のために働く。」というキャッチコピーを掲げた首相菅義偉が、国民生活とは無関係にみえる日本学術会議に手を突っ込み騒動になっている。研究者や左派メディアが批判する中、菅政権はのらりくらりとした説明を繰り返し、落としどころが見えない。まるで安倍晋三政権時代に繰り返されたモリカケサクラ問題のようだが、内実はまったく違う。唐突に見えた六人の会員候補任命拒否は、用意周到に計算されたアカデミズム改革の端緒であり、首相菅は学術会議改革を強引に実施するつもりだ。任命拒否された会員の経歴などから「令和のレッドパージ」とも言われるこの問題の背景には過去の経緯が複雑に絡み合い、学術会議側の問題をも浮き彫りにする。

実行の陰にいる杉田官房副長官

 前政権に時間軸を戻すと、首相安倍晋三、官房長官の菅らは当初、日本学術会議についてあまり関心がなかった。その証拠に第二次安倍政権発足の二年後に行われた二〇一四年会員改選期には何の介入もしていない。今回の問題の直接の発端となったのは翌一五年に高まりをみせた安保法制反対運動だ。キ・・・