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社会・文化

コロナワクチンは本当に安全か

「副反応」への深まる懸念

2020年12月号

 新型コロナウイルスワクチンの開発成功のニュースが十一月、世界で報じられた。日本政府もそのワクチンの購入権を確保しており、来年の東京五輪・パラリンピック開催に期待が高まっている。しかし、「緊急承認」の名のもとに、安全性が置き去りにされていないだろうか。
 米ファイザー・独ビオンテック連合と米モデルナは、開発したワクチンがそれぞれ約四万三千五百人、約三万人を対象とした第三相臨床試験の中間解析で、九〇%、九四%の有効性を確認したと報告した。米食品医薬品局(FDA)や世界保健機関(WHO)がワクチンの有効性の基準として設定していたのは五〇%だったから、今回の発表は、その期待を大きく上回った。
 今回、両社が開発に成功したのはmRNAワクチンだ。コロナの遺伝子(mRNA)の一部を注射し、体内でたんぱく質を発現させる。このたんぱく質が免疫を誘導する。この方法は、原理はシンプルだが、これまで開発に成功した企業はなかった。mRNAは、体内では様々な酵素によって破壊され、目標とする細胞に到達しない。両社は、mRNAを脂質ナノ粒子と呼ばれる脂肪性の膜に包み込むことで、この問題を克服し・・・