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経済

《地方金融の研究》千葉興業銀行

みずほ銀行に見放される瀬戸際

2021年1月号

 千葉市に本店を置く千葉興業銀行内ではいま「不安と動揺がしきりと交錯している」(中堅行員)という。
 発端となったのは二〇二〇年十一月上旬に発表された、りそなホールディングス(HD)による関西みらいフィナンシャルグループ(FG)の完全子会社化だ。全面買収に向けた一連のスキームでは、りそなHDがTOB(株式公開買い付け)を実施(既に二〇年十二月に成立済み)。関西みらいFGに二三・五%を出資していた三井住友(SM)FGはこれに応じる形で保有全株を放出し、地銀経営から完全に手を引く。
 SMFGの動きの背景にあるのが「バーゼルⅢ」だ。グローバルにビジネスを展開する金融機関の自己資本比率規制を強化しようというもので、銀行が保有する政策投資株は自己資本比率の分母となるリスク量算定に際しての掛け目が段階的に引き上げられ、二七年までに時価の二・五倍となる。大量の政策保有株はその資本基盤を揺るがすことにもなりかねない。
 となると、SMFGと同じく国際的に事業を展開するみずほ銀行を筆頭株主に持つウチはどうなるのか―というわけだろう。現在みずほの千葉興銀株の所有割合は二一・・・・