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ロシアに舐められる菅外交

裏で続く経産省「親露路線」

2021年2月号

「シンゾー、アリガトウ」「ウラジーミル、スパシーバ」―。日本の憲政史上、まれにみる親露路線を貫いてきた安倍政権が終わりを告げてから五カ月。菅政権はロシアへの関心が低く、日本の対ロ外交は正常な軌道に戻りつつある。ロシアから距離を置く日本に対し、ロシアはこれまでの高圧的な態度を一転させ、日本にすり寄り始めた。ただ、裏では相変わらず、さまざまなチャンネルを使って対日工作を展開。経済支援など搾り取れるものは取って、領土問題や安全保障では一歩たりとも譲歩しないという姿勢は変わらない。
 外交の世界では「首脳間の接触」がモノを言うが、菅義偉首相がプーチン大統領と接触したのは、昨年九月二十九日に二十分間ほど行われた電話会談のみ。新型コロナウイルス蔓延という特殊事情があるとはいえ、対面だけで二十七回の会談を重ねた安倍晋三前首相とは、その力の入れように差があることは一目瞭然である。
 一方、ロシアは「安倍ロス」に対する不安や焦りからか、日本側に対し秋波を送り続けている。
 関係者によれば、菅氏の自民党総裁就任が濃厚となった時点で、在日ロシア大使館の職員が日本政府にプーチン氏・・・