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WORLD

米中「ブロック経済圏」の優劣

バイデン時代に深まる「断層」

2021年2月号

 バイデン新大統領の就任で米中対立の緩和を期待する人も多いが、実際は米中冷戦構造がより鮮明になるだろう。習近平政権の強権的、非民主的な本質は民主党と相容れないからだ。商機によって政策が揺れたトランプ前大統領よりもバイデン政権の方が一貫した対中強硬姿勢をとるとみるべきだ。注目すべきは米中が構築する陣営の構成と実力だ。米国はG7、インド、豪州など主要国と欧州、中国はロシア、イラン、ブラジルと「一帯一路」の途上国の多くを引き入れる。人口、国内総生産(GDP)や貿易、軍事力、科学技術などで両陣営の実力を測ることで、冷戦の行方もみえてくる。
 一月二十日の就任式で中国に衝撃を与えたのは、台北駐米経済文化代表処(台湾の大使館に相当)の蕭美琴代表が招待されていたことだ。一九七九年に米が台湾と断交した後の初の招待で、バイデン政権の対中姿勢を明示した。
 第二次世界大戦終結とともに始まった米ソ冷戦はソ連が対独緩衝地帯として確保したポーランド、ハンガリー、チェコスロバキア(当時)など東欧諸国と中南米、アフリカなど反米国家を陣営とし、経済ブロックの構築に進んだ。
 米中冷戦にお・・・