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日本の科学アラカルト 126

電気自動車普及の鍵を握る 「全固体電池」実現に向けた研究

2021年2月号

 電気自動車(EV)の普及に向け各国がさまざまな方針を打ち出している。核になるのはガソリン車の販売制限で、時期こそ違うとはいえ、ある時期以降のガソリン車の新車販売を禁止する。これを代替する候補は、EVか燃料電池車(FCV)ということになる。
 それぞれ課題は残されており、EVのエネルギー源となる電気を作る際に火力発電を用いれば、二酸化炭素排出はそれほど減らないのではないか、FCVのための水素はいかにして確保するのかなど、それぞれ根深いボトルネックが残されている。
 しかし現実問題としてEVの普及を阻んでいるハードルのうち、消費者レベルで最も問題視されているのは航続距離だろう。日産自動車のリーフe+は一回の充電で四百五十キロ以上走ることが可能ということになっている。米テスラのモデル3も通常タイプで四百キロ以上走ることが可能ということになっている。大容量バッテリーを積んだことで航続距離はかつてより延びているが、電池の劣化などを考えると、この数字を鵜呑みにしていいのかといった疑問が残る。一月の大雪の際には、一千台以上の自動車が三日間以上にわたって動けなくなったが、「電気自・・・

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