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政治

国会を堕落させる安倍流「政治技術」

立法府を私欲で歪める「暴政」

2017年7月号

 総理大臣の安倍晋三が好む言葉の一つに「政治技術」がある。
 いくら政策が合理的で正しくても、それだけでは進まないのが政治だ。根回し、駆け引きなどの政治技術が欠かせない。問題は、経験に比例して向上するはずの技量が、安倍政権では日を追うごとに劣化を続けていることだ。二〇一七年通常国会も、安倍流の政治技術の稚拙さを端的に示す事例のオンパレードで終幕した。
 最たる例は、学校法人「森友学園」への国有地払い下げを巡る問題や、学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画に関する疑惑への対応の迷走だが、それだけではない。一見、与野党協調の成果として語られる「天皇の退位等に関する皇室典範特例法(退位特例法)」も、例外ではなかった。

党利党略と利己的な目的

 本来なら両議院とも内閣委員会で扱うのが筋だった案件が、衆議院は議院運営委員会(議運)に、参議院は特別委員会に法案が付託された。同じ法案を扱う委員会が衆参で異なることも異例なら、国会の議事運営を決める議運で政府提出法案を扱うのも「禁じ手」の類で、前例は一九四・・・