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社会・文化

「変異ウイルス」に無防備の日本

「第四波」は複雑で難解に

2021年3月号

 新型コロナウイルス(以下新型コロナ)の新規感染者の減少が続き、第三波が収束に向かいつつある。二月十七日には待望のワクチン接種も始まった。しかし、楽観は禁物だ。高橋謙造・帝京大学大学院公衆衛生学研究科教授は「日本のワクチン確保状況では、年内に集団免疫を確保することは難しく、夏場には変異株の大流行が起こることが懸念される」という。
 変異株の感染力を考える上で注目すべきは、昨年末から今年にかけて南半球で大流行が起こったことだ。南アフリカとブラジルでは、今年一月のピーク時の感染者数は、昨年七月と同レベルだった。日本、米国では一月のピークの感染者数が昨夏の三・五倍、四・七倍であるのと対照的だ。南アフリカとブラジルでは、真夏に冬並みの大流行が起こったことになる。高橋教授は「変異株が感染拡大に影響した可能性が高い」と指摘する。
 さらに、昨年十月までに人口の七六%が感染していたと推定されるブラジルのマナウスで流行が再燃したことは、変異株が免疫を回避したことを意味する。

パンデミックが延長しかねない

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