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経済

《企業研究》JR東海

コロナとリニアの「二重苦」

2021年6月号

 事実上の「一騎打ち」といわれている。六月三日に告示される静岡県知事選挙―。同月二十日の投開票日まで、四選を目指す現職の川勝平太氏と前参議院議員で自民党や同県連が推す岩井茂樹氏との間で激しい選挙戦が繰り広げられる見込みだ。
 その成り行きをまさに「固唾を呑む」といった思いで見守っているのが東海旅客鉄道(JR東海)だろう。新型コロナウイルス対策と並び、選挙戦での最大の争点の一つとなるのが「リニア問題」とみられているからだ。
 大井川の水資源など環境への影響が懸念されるとして、川勝知事がJR東海の進めるリニア中央新幹線南アルプストンネル静岡工区の着工に「待った」をかけたのは約二年半前。これに対しJR東海側は「トンネル工事で流出する水はすべて大井川に戻す」などとして理解を求めたが、知事は難色を示し続ける。
 トンネル工事が南アルプスを源流とする大井川に与える影響を科学的に検証するとして、所管の国土交通省が設けた有識者会議でも両者の主張は嚙み合わず、平行線をたどるばかり。昨年六月には金子慎・JR東海社長との間でトップ会談も行われたが、何ら実りのない形で終わった。{・・・

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