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経済

《地方金融の研究》東北銀行(岩手県)

成算なき「弱者連合」傘下入り

2021年9月号

「経営体力が安定しているうちに合流することが最良の選択だと判断した」。今年七月二日に仙台市内で開かれた記者会見。村上尚登頭取は決断の背景をこう強調した。
 荘内銀行(鶴岡市)と北都銀行(秋田市)を傘下に持つフィデアホールディングス(HD)との経営統合を決めた岩手県地盤の東北銀行(盛岡市)。二〇二二年十月に株式交換でフィデアHDの完全子会社となり、上場廃止となる。今後、株式交換比率などを詰め、同年二月中旬頃の最終合意を目指す方針だ。
 すでに今年七月二十九日には村上頭取と田尾祐一フィデアHD社長兼荘内銀頭取を委員長とする統合準備委員会も発足。主計、人事、総務やリスク管理など機能別に八つの部会が設置され、本部機能の集約化やシステム統合などに向けての議論がはじまった。
 東北銀とフィデアは一八年二月に包括業務提携に踏み切っている。これに基づきATMの利用手数料を三行間で相互に無料化。一九年五月には三行の東京支店の共同運営化も実施した。ただ当時は「将来的な資本提携や経営統合を目指すものではない」と提携の意図を限局。昨年十一月の二〇二〇年度上期決算会見で、東北銀との・・・