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経済

日経平均株価は「孫正義」次第に

「投資会社」がもたらす新常態

2021年8月号

「我々の当期純利益は四・九九兆円になりました。やっとですね、売り上げも利益も一兆円、二兆円と、一丁、二丁と数えられる規模になったんだなあ、ということであります」。孫正義ソフトバンクグループ会長兼社長は五月十二日、同社二〇二〇年度決算説明会で日本経済史上最大となる巨額の純利益を出したことに達成感を滲ませこう述べた。創業当時「豆腐屋のように一丁、二丁と数えられるような企業をつくる」と語った夢を実現したことになる。
 それまでの日本企業の純利益最高額はトヨタ自動車の一七年度決算で記録した二・五兆円。日本一の大企業にダブルスコアをつけ、「純利益五兆円の日本企業」が誕生したのだ。それが製造業ではなく「投資会社」だという事実を直視する必要がある。これは日本の株式市場に今後、新常態をもたらす。

高まる日経平均全体への影響

 ソフトバンクの決算発表翌日、日経平均のPBR(株価純資産倍率)は同社利益五兆円が純資産として反映され、一・二四倍から一・一九倍に急低下した(通常の日次変動幅は〇・〇一~〇・〇二倍程度)。同日に・・・