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米国防総省で続く「トランプ捜査」

暴かれる「職権乱用」の数々

2021年10月号

 米国の国防総省(ペンタゴン)が、ドナルド・トランプ前大統領の徹底捜査を続けている。大統領権限で行われた人事、政策決定や米軍データへの介入など、トランプ氏が一方的に下した決定が、どんな意図だったか、国防にどう影響したかを探るものだ。
 司法当局などの承認を経ない「内偵」の段階だが、専門家が「なぜこんなことを?」と不思議がる命令も多く、トランプ政権の深い闇に新たな光をあてそうだ。

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 ペンタゴンとトランプ氏の攻防と言えば、著名ジャーナリスト、ボブ・ウッドワード氏らの新著『Peril(差し迫った危機)』(米国で九月二十一日発売)でもハイライトの一つだった。新著では、制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長が、大統領命令による中国への核攻撃やクーデターを心配し、中国共産党中央軍事委員会連合参謀部の李作成・参謀長に電話までかけたことが描かれた。
 だが、ワシントンの政治記者の間では、これらの逸話は、ペンタゴンにまつわる「トランプ疑惑」の一部でしかないとされている。{・・・