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政治

公明党が新政権で歩む難路

官邸とのパイプは一段と細く

2021年10月号

 公明党が一九九九年十月に自民党との連立政権に参加して二十年余。「政策実現」「政治の安定」を掲げ、連立維持を最優先に位置付けてきたが、自民党総裁選、それに続く衆院選次第で重大な岐路に立たされかねない状況に陥っている。新型コロナウイルス感染症対策の迷走などで不人気の菅義偉首相の下で衆院選に臨むのに危機感を抱いていた。九月三日の首相の退陣表明に「無理心中に巻き込まれなくてよかった」(幹部)と一息ついた格好だが、内実は異なる。
 首相の退陣表明、その後の自民党総裁選といった流れを見ても公明党の影響力の低下は明らかだ。かつて公明党は自民党に追従するだけの「下駄の雪」と揶揄されながらも、政局の節目では「首相おろし」を敢行し、陰に陽に総裁選にも影響力を行使してきた。
 二〇〇一年の参院選に危機感を抱いた当時の神崎武法代表は森喜朗首相の退陣を迫る口火を切った。神崎は「森さんが辞めなければ、自分も代表を辞めると腹をくくってやった」と振り返っている。〇八年にも福田康夫首相を辞任に追い込むべく「福田おろし」を行い、麻生太郎後継の道筋をつけた。「公明党は下駄の雪ではなく下駄の鼻緒だ。鼻緒・・・