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経済

当今「ベンチャー企業」の光と影

「スタートアップ投資」の危うい狂乱

2021年10月号

 ニュースのキュレーションサービス「スマートニュース」を手がけるスマートニュース社は九月十六日、総額約二百五十億円の資金調達を発表し、非上場企業であるにもかかわらず評価額は二千億円を超えた。その前日、十五日にはすきま時間にバイトを探せるアプリ「タイミー」を手がける株式会社タイミーが、総額五十三億円の資金調達を発表した。同社の累計資金調達額は九十億円に到達。サービス開始から三年超という異例のスピードと、二十四歳で立教大学の現役学生である小川嶺社長のキャリアが話題を呼んでいる。
 八月にはこちらも創業約三年の、製造業の受発注プラットフォームを手がけるキャディ株式会社が、総額約八十億円の資金調達を発表。「日本でも(時価総額が一千億円を超えるベンチャー企業を指す)ユニコーン企業やユニコーンを目指せる企業が続出してきた」とベンチャーキャピタル(VC)関係者の期待は高まるばかりだ。
 三年前といえばちょうどメルカリが上場した時期と重なるが、当時国内のユニコーンはメルカリ一社のみ。スタートアップ投資の市場が大きい米国や中国が年間数十社のユニコーンを輩出するのに比べて大幅な後れを取・・・