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経済

東電新体制が目論む「福島切り捨て」

政治を籠絡し着々と外堀埋める

2012年7月号

 六月二十七日、大荒れとなった株主総会を切り抜け、東京電力は新体制に移行した。初の社外登用となった下河邉和彦新会長、「非勝俣ライン」の廣瀬直己新社長の二枚看板で生まれ変わりを演出する一方、実務を固める旧東電勢力は着々と失地回復へと動き始めている。彼らが目論むのは、健全な電力事業を担う「グッド東電」と賠償や廃炉を担う「バッド東電」の分離、すなわち、福島第一原子力発電所事故による「負の遺産」との決別だ。

廃炉費用は軽く十兆円を超える

 東電は福島第一原発事故発生以降、あらゆる手段を通じて破綻回避を模索してきた。金融機関からの緊急融資に始まり、原子力損害賠償支援機構による賠償資金の立て替えや企業向けの電気料金値上げを実現。ついには原賠機構を通じ、国の議決権比率を最低限に抑えながら一兆円もの公的資金を引き出すことに成功した。  東電は現在、総合特別事業計画に基づき、家庭の電気料金引き上げ、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に突き進んでいる。値上げも再稼働も東電を黒字化するための必須条件だが、これによってすべてが片づくと見る向きは皆無だ。ある地方電力幹部は・・・