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経済

《企業研究》新生銀行

SBIの「侵攻」で風前の灯

2021年10月号

「フラれた腹いせにストーカー攻撃か。卑劣なやり口だよ」。新生銀行幹部の一人が吐き捨てる。
 新生銀に対する「無通告TOB(株式公開買い付け)」に踏み切ったネット金融大手のSBIホールディングス(HD)。今年九月九日の新生銀株の終値一千四百四十円に三八・九%のプレミアムを乗せた一株当たり二千円で、発行済み新生銀株を最大五千八百二十一万株まで買い付ける。SBIHDはすでに二〇・三二%の新生銀株を保有している。TOBが成立すればSBIの持株比率は四八%に上昇。国(預金保険機構と整理回収機構)の保有比率二一・七九%を上回って断トツの筆頭株主となる。買収資金は最大一千百六十四億円にのぼる見込みで、シティバンクからの借り入れなどで調達する。
 SBIはTOB成立後、臨時株主総会の招集も要請。元金融庁長官の五味廣文氏を会長に、COO(最高執行責任者)で傘下のSBIインベストメント社長の川島克哉氏を社長に送り込むなど三人の新取締役を選任して、工藤英之社長ら新生銀の現経営陣を刷新。同行を連結子会社化したうえ、島根銀行や福島銀行など自らが資本提携する地方銀行群(現在八行)の中核に据える・・・