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サイバー被害の正しい対処法

ドロン・レビット(サイバー被害対策専門家)

2022年2月号

 ―日本のサイバー被害の問題点はなんでしょう。

 レビット まず大事なことは、被害は隠すべきではないということだ。今、サイバー攻撃の世界では、若いハッカーから、政府が支援する国家主体の組織まで活発に活動している。新しい種類の巧妙なサイバー犯罪やテロが発生しており、新たな冷戦と言われるほど混沌とした現実がある。そういう実態の中でサイバー攻撃の被害に遭うことは、決して恥ではない。被害を隠せば、企業としてのマネジメント能力が疑われる。厳しい現実に堂々と対応する力があることを示せば、逆に信用を得られるはずだ。民間企業任せではなく、官民が一緒に対応することも必要だ。
 攻撃の手口がつまびらかになれば、ハッカー側も力を失う。例えばランサムウェア(身代金要求型ウイルス)攻撃では、被害を公表することで対策が広く検討できる。ならず者国家が背後にいるサイバー攻撃に沈黙するのは、自国が外国から軍事攻撃されていることを国民に秘密にしておくようなものだ。

 ―ランサムウェア攻撃に対して日本は「身代金は払わない・・・