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連載

《世界のキーパーソン》尹錫悦(韓国前検事総長)

祈祷師にすがる野党大統領候補

2022年2月号

「私が政権をとったら、やるわよ。見てなさい」。こんな言葉が、候補者ではなくその妻から出てきたら、有権者はどう思うだろう。
 韓国最大野党「国民の力」の大統領候補、尹錫悦の妻、金建希が、ネットメディアの会見になんと五十回以上も答えて、一月にその一部が紹介された。
 夫人は昨年末、自身の経歴詐称について記者会見を開き、「ごめんなさい」「これからは夫を支えることに徹します」と謝罪したばかり。「夫が権力を握ったら、反対派に絶対復讐してやる」という本音が出たようだ。
 謝罪会見では何をどう詐称したのか、全く触れなかった。在ソウルのネット紙編集委員は、「わかっているだけで二十以上のでたらめがある。真実を記した経歴書は一つも存在しない」と言う。メディアに登場したころは、「美人妻(年齢は四十九歳)」ともてはやされたが、今は疑惑の玉手箱だ。大統領選は三月九日に迫っているのに、韓国メディアは政策以外の話に振り回されている。
 彼女の実母(尹の義母)は昨年夏、医療資格もないのに病院を開設して、診療報酬をだまし取ったとして懲役三年の実刑判決を受けた。金額は円換算で二億円・・・

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